量子コンピュータと従来のコンピュータの違い
さて従来のコンピュータでは、これら(2のn乗)個の状態のうち、ある時点でたった一つの状態をとり得る。この一つの状態が時々刻々と次の状態へと推移していく(コンピュータが計算を行うとはそういうことである)。
これに対し量子コンピュータでは、(2のn乗)個の状態のうち、ある時点で(ある確率分布に従って)全ての状態、つまり(2のn乗)個の状態をとり得る。そして各々の状態が時々刻々と次の状態へと推移していく。つまり量子コンピュータの内部では、(2のn乗)個の状態を同時並列的に計算できる。これは(2のn乗)個のコンピュータによる並列処理と同じことである。
ものすごく乱暴な言い方をすると、「 同時処理が出来て早い 」という事にります。 しかし、今までのコンピュータの機械的なロジックとは違う形での運用が必要とされている為、プログラミングにも専用の言語、ツールが必要となっています。
どのくらい凄いのか?
2017年11月20日に発表のあった「量子ニューラルネットワーク(QNN)」では、互いに仲のいい悪いの人間関係がある2000人を仲の悪い人が最も少なくなるよう2つのグループにわけという「組み合わせ最適化問題」をわずか0.005秒以下で解くことに成功したとのことです。これは理化学研究所のスーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)」と比べ、100倍の速度になるとのことです。
これも、スーパーコンピューターの100倍と言えば恐ろしい性能だという事がわかります。
総当り形式でアタックできる暗号系統なども突破できてしまうのではないかという恐ろしさです。
何に利用?
想像を絶する超高速演算処理が可能な為、ビッグデータ分析、人工知能の開発でのアドバンテージを発揮します。
今ある開発環境
Microsoft、量子コンピュータ向けアプリの開発キットを公開
キットには、プログラミング言語「Q#」、量子コンピューティングシミュレータ、およびサンプルやライブラリなどのリソースが含まれる。
Q#は量子コンピューティングのために開発されたプログラミング言語で、そのほかのプログラミング言語と同様にVisual Studioに統合されているという。
さすがマイクロソフト。素晴らしいです。 ディープラーニングも思えばTensoFlowが下克上で一般ユーザーに利用されるようになってから広まりました。
量子コンピューティングも然りでしょう。 ただ、今は一般ユーザが量子コンピュータを手にする事はできないので
加えて、開発キットの一部として提供されるローカル量子シミュレータで動作するよう設計されており、一般的なノートPCを使用して、約30論理量子ビットの量子コンピューティングのシミュレートが可能となっているとする。これにより、開発者は自分のPC上の小さなインスタンスで、量子コードとテストプログラムをデバッグできる。
あくまでシュミレータの中での開発となります。
でも欲しい量子コンピュータ、販売されてるの? 購入方法は?
量子コンピュータ「D-Wave 2000Q」発売、公約通り量子ビットを倍増
D-Waveは同日、Temporal Defense SystemsがD-Wave 2000Qの最初のユーザーになると発表した。その中でD-Waveは、D-Wave 2000Qの価格が1台1500万ドル(約17億円)になると述べている。同社はこれまで量子コンピュータの価格を明かしていなかった。
17億あれば買えます!! (とはいえ、購入には色々な手続き、証明が必要かとは思いますが)
諦めるしかないの? いえ、買わなくても使用できます。
IBM Quantum Computing で計算してみよう
IBM Cloudで量子コンピューターを無償で触ってみよう!
素晴らしい! IBMサマサマです。
何年後の未来の為に
今、日本企業はAIの分野に力をいれ、シリコンバレーなどにもAI専門の部署を立ち上げたりしています。
AIはシンギュラリティの象徴のような存在ですが、量子コンピュータはそれをさらに進化させる次世代の可能性を引き出す存在です。
量子コンピュータを扱うエンジニアの需要は数年後間違いなく伸びてきます。 その未来の為にプログラミング環境の提供を開始したマイクロソフト、IBMに感謝です。