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サイトの健康診断と成長戦略:ウェブ解析エコシステム(GA4, GTM, GSC)

1 はじめに

一言でいうと

「ユーザーがどこから来て、サイトで何をしたかを可視化し、データに基づいてビジネスの意思決定を行うための仕組み」 です。

なぜ今、重要なのか

「なんとなくデザインを変えた」「勘でキャンペーンを行った」という時代は終わりました。 オンラインでの行動が複雑化する現在、ユーザーの行動を正確に計測(トラッキング)し、ボトルネックを特定して改善するサイクル(PDCA)を回すことが、Webサービスの成長に不可欠だからです。特に、プライバシー保護(Cookie規制)と機械学習による予測がトレンドとなる今、正しいツールの導入と設計がエンジニアにも求められています。

2 ビギナー向け・ドキュメント

概要:リアル店舗で例えると?

ウェブ解析の「三種の神器」は、実店舗の役割に例えると理解しやすくなります。

  1. Google Analytics 4 (GA4): 「店内の監視カメラと集計機」
    • 客層(年齢・性別)、どの棚の前で立ち止まったか(ページ滞在)、何を買ったか(コンバージョン)を記録・分析します。
  2. Google Tag Manager (GTM): 「配線盤(スイッチボード)」
    • 監視カメラや広告用センサーなどを、店内の壁(ソースコード)を毎回工事せずに、簡単に設置・管理するためのツールです。
  3. Google Search Console (GSC): 「店外のお客様アンケート」
    • 店に入る前(検索エンジン)で、ユーザーがどんな悩み(キーワード)を持って店の看板を見たか、クリックして入店したかを知るツールです。

公式情報・推奨リソース

導入:GTMによるイベント送信の第一歩

現代のWeb開発では、直接GA4のコードを書くより、GTM(タグマネージャー)を介してデータを送るのが一般的です。 以下は、ボタンクリック時に「データレイヤー」という領域に情報をプッシュする、解析における「Hello World」です。

<button id="signup-btn">登録する</button>

<script>
  // ボタンクリック時にGTMへデータを渡す処理
  document.getElementById('signup-btn').addEventListener('click', function() {
    // dataLayerはGTMとwebサイトの間の「伝言板」
    window.dataLayer = window.dataLayer || [];
    window.dataLayer.push({
      'event': 'signup_click', // GTM側でこのイベント名をトリガーにする
      'button_location': 'header'
    });
  });
</script>

3 会話集

開発現場やマーケティング担当者との間でよく交わされる会話例です。

Q1. なぜ直接GA4のタグを貼らずに、GTMを使うんですか?

マーケ担当: 「エンジニアさんに毎回頼むのが申し訳なくて…」 エンジニア: 「だからこそGTMなんです。GTMを入れておけば、『広告タグを追加したい』『計測箇所を変えたい』といった変更を、コードを修正・デプロイすることなくマーケティング側で管理画面から設定できるようになります。お互いのために必須ですね。」

Q2. Search ConsoleとAnalytics、どっちを見ればいいの?

新人: 「数値が微妙に合わないんですが…」 先輩: 「役割が違います。Search Consoleは『サイトに来るまで(検索結果)』Analyticsは『サイトに来てから』のデータです。流入キーワードや掲載順位を知りたければGSC、直帰率やCVを知りたければGA4を見ましょう。」

Q3. 「直帰率」がGA4で見当たりません。

Aさん: 「昔のAnalyticsにはありましたよね?」 Bさん: 「GA4からは概念が変わって、代わりに『エンゲージメント率』が重視されるようになりました。単に1ページで帰ったかどうかではなく、『10秒以上滞在したか』『CVしたか』など、ユーザーが意味のある行動をしたかを測る指標ですね。」

4 より深く理解する為に

アーキテクチャ:イベント駆動データモデル

従来のユニバーサルアナリティクス(UA)は「セッション(訪問)」単位で計測していましたが、GA4は「イベント」単位ですべてを計測します。 「ページを見た」も「スクロールした」も「購入した」も、すべてフラットな「イベント」として記録され、パラメータで詳細情報を付与する構造になっています。

クライアントサイド計測 vs サーバーサイド計測 (sGTM)

昨今のITP(Intelligent Tracking Prevention)やCookie規制により、ブラウザ(クライアント)側での計測精度が落ちています。 これに対抗するため、サーバーサイドGTM (sGTM) が注目されています。 * 従来: ブラウザ → Googleサーバー(直接送信。ブロックされやすい) * sGTM: ブラウザ → 自社管理のプロキシサーバー → Googleサーバー * 自社ドメインのCookieとして扱えるため、規制の影響を受けにくく、セキュリティも向上します。

実務でのベストプラクティス

  • 命名規則の統一: カスタムイベント名(例: click_cta_top vs top_cta_click)がバラバラだと分析不能になります。設計書(トラッキングプラン)を作成しましょう。
  • PII(個人特定情報)の排除: メールアドレスや電話番号を誤ってGA4に送信すると、アカウント停止のリスクがあります。GTM側でハッシュ化するか、除外設定が必要です。

5 関連ワード

  1. コンバージョン (CV / Conversion)
    • Webサイトにおける「最終成果」。購入、問い合わせ、資料請求など。これを最大化することが解析の目的です。
  2. データレイヤー (Data Layer)
    • WebサイトからGTMへデータを受け渡すためのJavaScriptのオブジェクト(配列)。変数はここに格納してGTMで読み取ります。
  3. Looker Studio (旧 Google Data Portal)
    • GA4やSearch Consoleのデータを読み込み、グラフや表で可視化(ダッシュボード化)するGoogleの無料BIツール。
  4. UTMパラメータ
    • URLの末尾につける計測用のタグ(?utm_source=twitter&utm_medium=socialなど)。これで「どこから来たか」をGA4に伝えます。
  5. Cookie (クッキー)
    • ブラウザに保存される小さなテキストファイル。ユーザーの識別(再訪問の判定)に使われますが、近年はプライバシー保護の観点で規制が強まっています。

6 要点チェック

  • 役割分担: GSCは「流入前(SEO)」、GA4は「流入後(行動)」、GTMは「それらの管理ツール」と覚える。
  • イベント脳: GA4はすべてが「イベント」。ユーザーのどんな行動をイベントとして定義するかが設計の肝。
  • 脱・直書き: 計測タグはソースコードに直書きせず、GTMコンテナ経由で配信することで、運用コストとリスクを下げる。
  • プライバシー: Cookie規制やGDPR/CCPAなどの法規制を意識し、適切なデータ取得を行う。

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